エスパー・ソルジャー・ジュン

エスパーソルジャージュン

JUN OF PASS AWAY DREAM 中編 JUN OF PASS AWAY DREAM 後編1

JUN OF PASS AWAY DREAM 後編2  JUN OF PASS AWAY DREAM 後編3


                                             VOL、3
                                       COL,23 銀河歴584年

                  JUN OF PASS AWAY DREAM前編



銀河歴584年

 銀河連邦ESP対策本部。 その地下32階にある登録資料室。 ここは、現在この銀河に存在するエスパーをその能力によって登録・分類・管理し、エスパー犯罪から一般の人々を守るために作られた施設である。
 その施設の最下層にある資料室。 ここは、登録してあるエスパーのすべてを閲覧できる場所であるが、ここに入るまでにいくつものゲートと、パスワードが必要である。
 たとえ、この施設の職員であるといえども、セキュリティーはかなり厳しいものである。

 そんな資料室に一人の女性がいた。

「ビッグ・エス。」
 ビッグ・エスと呼ばれたコンピュータは、目覚めた。
『どのようなご用でしょうか。』
「いい、ランクA〜Bのエスパーの登録名簿を見せて。」
『ミディア・フレンチーノ。 確認いたしました。 照会のあったエスパーは、260人です。 番号と、名前を表示します。」
「わかったわ。表示して。」
 音声認識のできるコンソールにあるモニターに表示が始まった。
 しばらくその画面を見詰めていたミディアは、一つの名前を見つけ出した。
「ビッグ・エス! A−72のエスパーを詳しく説明して。」
「わかりました。 A−72。 登録名ジュン。 年齢・出身地・本名不明。  性別・男。またいつ頃からかわかりませんが、エスパー・ソルジャー隊に参加。 その能力は他のソルジャーをはるかに上回るものといわれている。 経歴の中で主のなものは、銀河歴079年。銀河第二惑星の暴走を阻止し、重力ジェネレータの実用実験の研究に貢献。 銀河歴102年。 ユリカという少女によって、銀河第二惑星が再びこの宇宙に出現。 ユリカと銀河第二惑星の両方を解決する。 銀河歴313年。 夜の都事件として記録されている事件に関与。  銀河歴420年。 Dr.マルガリータによるエスパー楽園惑星計画に対してその阻止。 その他歴史的記録の多くにその姿が目撃されています。 ジュンのエスパー能力については、その能力は計り知れないとしか記録されていません。 A−73に移りますか。」
「ジュンのデータをディスク化して、A−73から番号と名前だけの表示に戻して。」
「わかりました。」
 再びデータが画面に表示された。
「ジュン。 あなたは死なないの、何百年も生き続けて辛くはないの。 私にはできないわ、そんなに長く生きるなんて・・・。 私がきっと楽にしてあげるわ。」
 画面では、Bランクのエスパーたちが映し出されていた。
「ビッグ・エス。 B−06をお願い。」
「解りました。B−06。 登録名ユリカ。 年齢・出身地・本名不明。 性別女。 能力は、ジュンに劣るものの、平均的なエスパーの能力よりもかなり高く、Aクラスエスパーでの登録も考えられたが、それまでの行為が、すべて犯罪であることから見送られた。 銀河歴102年。 銀河第二惑星を利用し、銀河支配をもくろむが、ジュンによって阻止される。 ユリカ自身も宇宙に四散する。 銀河歴400年。 四散したはずの体細胞の一部から復活。 人類皆殺し計画を実行する。 しかし、クローン再生の一部で不手際があり、再生期間が短く、計画の途中で死亡する。 銀河歴563年。再びクローン再生したユリカは、他人のマトリクスを利用し、完全に復活をとげ、ジュンと銀河をかけて戦うが、ジュンのフリーズ・ドライという新しい能力によって、細胞のコアまで完全に破壊された。 このことによって完全なる死を迎えた。」
「ありがとう。 こちらもコピーをお願い。 データのリンクも、もう良いわ。 ありがとうビッグ・エス。 」
「どういたしまして、また利用してください。」
 手元に二人のデータの入ったCDをもって、ミディアは部屋を出ていった。
「しかし、このユリカというエスパーもすごいわね。 でも彼女はまだいいわよ。 ジュンと違って、ちゃんと死ねたんだから。」

 地球から離れること300億光年。 太陽系バレンチーノ。 太陽バレンチーノを中心にアルファ・ベータ・ガンマ・イプシロンの四つの惑星と二つのアステロイドベルトから成り立っている、地球からもっとも遠い植民地である。
 そのバレンチーノの首都惑星イプシロンの軌道上にリープシップが現れた。
 「長官。惑星軌道上にリープシップ出現。 ピンポイントに向かって、落下中。」
 「回避させろ。」
 「だめです。こちらの呼びかけに答えません。」
 「リープシップ確認。 ボーイング7792。 遅れていた972便の様です。」
 「ピンポイント落下まで、後55分。 再度の呼びかけにも答えません。」
 「仕方ない。 落下予想地域の住民の緊急避難とともに、クロスファイターのスクラ
ンブルだ。」
 「了解。 落下予想地域への緊急避難放送発令。 クロスファイター・エマージェン
シー・スクランブル発令。 16分後に972便と接触します。」
 「間に合ってくれればいいが。」
 「972便の乗客数出ました。 160名の民間人と、12名のクルーです。」
 「落下予想地域の住民の避難開始しました。」
 「速度・角度とも依然変わらずにつっこんできます。」
 「何としてでも、落とすわけにはいかない。」
 管制塔の中では、激しい口調で、呼出を続ける者。 住民の避難状況を確認する者。 落下予定コースとその周辺の民間機の調整に追われる者などで、修羅場と化していた。
 「こちら、ゴモラ・リーダー。 972便確認。 コクピット目視確認。 パイロツトの確認できません。 これより、トラクター・ビームによる誘導を行う。」
 「管制塔了解。 成功を祈る。」
 クロスファイターの小隊長からの無線が、管制塔に届く。
 「トラクター・ビームがロック・オンできない。」
 管制塔の中に響くゴモラ・リーダーの声。
 「地上まで後十分。」
 「ゴモラ・リーダーからゴモラ・ツー、スリーへ、リーフエンジンのみ破壊できるか?
 ゴモラ・フォーとファイブビーム・ネットの準備。 やり方はわかるな。」
 「ゴモラ・ツー了解。」
 「ゴモラ・フォー、ファイブとともに先行し、ネットを張ります。」
 「ゴモラ・ファイブ了解。 止められなくても速度は殺します。」
 「ゴモラ・スリー、ターゲットロック・オン。破壊します。」
 「各機慎重に頼むぞ。 作戦開始。」
 クロスファイター五機による捕獲作戦がスタートした。
 「ゴモラ・リーダー。 こちら管制塔。 作戦の成功を祈る。」
 「ゴモラ・リーダー了解。 何としてでも止める。」
 管制塔の大画面に、情報衛星からの映像が届き、作戦の様子が映し出された。 だが、エンジンを破壊され、ビーム・ネットに捕獲されているものの、972便の速度は落ちることはなかった。 地上寸前までネットを二重にし、捕獲していたゴモラ隊であったが、その作戦もむなしく、972便はピンポイントの大地に墜落、大炎上を起こし、乗員、乗客の全てを救うことはできなかった。
 この事件は、星間ニュースとして、全植民地に報道され、人々に事故の恐怖を伝えた。

 「第一作戦は、成功ね。 続いて第二作戦のプログラムをスタートさせて。」
 「了解しました。 プログラムをスタートさせます。」

 
  JUN OF PASS AWAY DREEM  前編了
                 2003.01.11(日)

                                         JUN OF PASS AWAY DREAM  中編へつづく